毎年恒例の Joe Pulizzi 率いる Content Marketing Institute と MarketingProfs、brightcoveによる北米B2B業界のコンテンツマーケティング事情に関するレポートの最新版が出ていますので、要点と注目ポイント・簡単な解説を交えて以下に紹介していきたいと思います。
元のスライドはこちら
B2B Content Marketing - 2016 Benchmarks, Budgets and Trends - North America
サマリーより
30%のB2Bマーケターがコンテンツマーケティングに効果を感じてるが、昨年は38%だったので数値は落ちている。ただし、効果があると言っているマーケターとそうでないマーケターには差がある。
44%のB2Bマーケターが、所属企業内でもコンテンツマーケティングの成功や効果を理解してると答えているが、55%はそうではないと答えている。
コンテンツマーケティングが成功しているというB2Bマーケターは、
- 成功するコンテンツマーケティングがどのようなものか理解している。
- コンテンツマーケティングの戦略をちゃんとドキュメントに描いている
- コンテンツ制作の方針(編集方針)についてドキュメント化している。
- チーム内のコミュニケーションを頻繁に行っている。
B2Bマーケティングおけるコンテンツマーケティング予算比率
対マーケティング予算全体の28%が平均値。
効果があるといっている層で42%で、
しっかりとやりこんでるところは48%となっている。
B2Bの場合はB2Cとくらべて、広告を出したくなるような媒体が少ない。つまりマーケティング予算における媒体購入費の予算は小さい。それを理解しておくとこの数字がなぜ相対的に大きいかわかるとおもう。
B2Bコンテンツマーケティングの目標
B2Bコンテンツマーケティングのゴールとして考えられているのは、
見込客創出(lead generation) 85%とセールス84%
となっている。
後述の重視している指標と合わせて読んで欲しいが、基本的にコンテンツマーケティングやインバウンドマーケティングにおいては、「Qualified Traffic, Qualified Lead 質の高いトラフィック、質の高い見込み客」を獲得することが目的、というのがスケダチ高広がクライアントや各セミナーで話をするポイントである。このスローガンのもとに動かないと、見込み客創出はできません。
コンテンツ制作は今後も増加傾向に
2015年と比べて2016年のコンテンツ創出はもっと増えると答えているマーケターが76%。
どのようなコンテンツマーケティングを行っているか?のランキング
- ソーシャルディア向けコンテンツ(ブログ以外) 93%
- ケーススタディ 82%
- ブログ 81%
- eニュースレター 81%
- リアルイベント 81%
- サイト内コンテンツ 79%
- 動画 76%
- イラスト・写真などのビジュアルコンテンツ 76%
- ホワイトペーパー 71%
- インフォグラフィックス 67%
- オンラインセミナー 66%
- オンラインプレゼンテーション 65%
ソーシャルメディアの活用率が高いというのが日本の現状とは差がある。やはりLinkedInの活用率が高いか?のと思うと、それだけではない模様。次項参照。
どのようなソーシャルメディアをコンテンツマーケティングに活用しているか?
- LinkedIn 94%
- Twitter 87%
- Facebook 84%
- YouTube 74%
- Google+ 62%
- SlideShare 37%
- Instagram 29%
- Pinterest 25%
なんとB2B企業でもTwitterやFacebookの活用が大きいということが分かる。しかしながら、実際に効果が高いと感じてるのは次のような状況らしい。
どのソーシャルメディアに効果を感じているか?
- LinkedIn 66%
- Twitter 55%
- YouTube 51%
- SlideShare 41%
LinkedInはもとより、TwitterとYouTubeの活用が高いことに注目。Twitterはニュースを拾ってもらうのにいいし、コンテンツの拡散力もある。また、動画コンテンツは見てもらってインパクトがあること以上に、検索エンジン対応も大きいことを理解しておくべき。B2Bだからといって使わない理由はない。一方、SlideShareの活用はまだまだチャンスがありそうだ。
効果があると感じている広告は?
- SEM 55%
- Promoted Post(TwitterやLinkedInなど) 48%
- Content Discovery Tools コンテンツリコメンデーション 45%
- ソーシャル広告(ソーシャルメディアでの広告) 45%
- ネイティブ広告 40%
コンテンツのディストリビューション先として広告が使われるというのも、正しい戦術。Content Discoveryとネイティブ広告以外は、オーガニックなコンテンツマーケティングをそれぞれのプラットフォームで行う場合に補完的に使われていると思われる。Content Discoveryとネイティブ広告はまだ枠数がこれから増えると思うので注目しておきたい。
コンテンツマーケティングを行う上で重要視している指標は何か?
- 営業可能な見込客の質 87%
- 営業機会 84%
- 高いコンバージョン率 82%
- 営業可能な見込客の数 71%
- サイトへのトラフィック量 71%
- ブランドの認知etcの向上 69%
- 検索エンジンのランキング 67%
- 既存顧客の継続率 66%
- 購入意向 64%
- メールニュースなどの購読者数 62%
コンテンツマーケティングの活用は、日本ではどうしてもSEO的観点ばかりに注目されている。しかしながらこれを見ればわかるように、「質の高い新規顧客を集める」、「顧客の継続率を高める」、「購入意向を高める」といった様々なライフステージに対して行われていることがわかる。つまり、コンテンツマーケティングは、やたら「ブログのコンテンツを月に何本作る」といったものではない、ということ。見込み客・顧客のステージに合わせたコンテンツを提供し、それぞれの時点でのマーケティング課題に応えるのが本当のコンテンツマーケティング。
コンテンツマーケティングを続けるうえでの今後の課題は?
- 惹きつけ続けるコンテンツを生み出すこと 60%
- コンテンツの効果をはっきりさせること 57%
- 継続的にコンテンツを作ること 57%
- コンテンツマーケティングのROIの明確化 52%
- 予算不足 35%
- コンテンツのバリエーションを増やすこと 35%
このあたりの悩みは日本でも同様。しかし日本でこれを取ると、80%以上の高い値が出ることになるのでは?
B2Bのコンテンツマーケティングは、単にコンテンツ創出の視点からだけ見るのではなく、全体のマーケティングと営業の戦略から作らないといけないけれども、上記数字はやるべきことと課題を把握する、意味のある資料になると思います。
もし、B2Bのマーケティング、特にデジタルやコンテンツがキーワードになるマーケティングのお悩みがあれば、スケダチまでお問合せください。